「なっ、おま……」
「ハメを外すのは結構だけど、今回相手が悪かったってことで、ここは素直に引き下がってもらえると嬉しいんですが」
携帯をまた目の前に戻した陽生が、素早くそのまま画面をいじりだす。
「紗枝さんのメアドって……」
「あーっ…分かった。分かったから!すまなかった。だから紗枝に連絡するのだけは勘弁してくれ!」
焦る男、チラッと陽生の携帯に目をやれば、なんとそこには
い、いつの間に撮ったんだろう…
椎名悟が私とはまた別に、他の女性にいやらしく言い寄っているベストショットなんかが映っていた。
「つーか君の彼氏って陽生だったの?」
男が観念したように私を見る。
さっきの余裕はどこへやら、見違えるほどそんな姿は無くなって見えた。
「あー……まぁ」
「んだよ、それならそうと先にそれを言おうよ」
そんなこと言われても、勝手に話しを進めてきたのはあんただし…
「悪いけど、こいつだけは絶対に的に回したくねぇ……って、あれ?でも待てよ。けどお前…神埼の1人娘と婚約したんじゃなかったっけ?」



