「陽……」
「あ?陽生??」
名前を呼ぼうとした瞬間、先にナンパ男が声を上げた。
突然現れた陽生をみるなり、は?って感じでハテナマークを浮かべている。
「お久しぶりです悟さん。相変わらず女を見る目だけは完璧っすね。けど、こいつだけはダメですよ。もう売約済みなんで、一生売り出しになることはないですから」
陽生がじっとナンパ男を見つめている。
「手出したら最後、あなたの大事にしている家庭が一気に崩壊することになりますけど、それでもいいんですか?」
そう言って目の前に差し出された携帯電話。
ん?首を傾ける私を余所に、何故かそれを目にした途端男の顔がみるみると青ざめていく。



