「それにしても、陽生の奴どんだけ独占欲が強いのよ」
「え?」
「その首から胸元にかけてのキスマークの痕、ちょっとやりすぎでしょ」
そんな時、静香さんが呆れた顔をして私の首元を見て言ったから、私は思わずハッとした。
「あー……やっぱり目立ちますかね?」
すぐに何のことだか気づき、慌ててその首元に指で触れてみる。
「もうバレバレ」
「…はは……」
それはさっき家を出る前に強引につけられたキスマークの痕。
一応スカーフを巻いて隠してきたつもりだけど、やっぱり全部隠しきるには無理があるのかもしれない。
「はぁ……ったく、自分のことを棚に上げておいてよくやるわよ」
「え?自分のこと?」
「あー…いや、ごめんこっちの話し。……う~んでもまぁ、今日は逆にその方が効果的かもね」
「え?」
「むしろスカーフなんか取っちゃって、あの女に見せびらかすのも一つの手かもしれない」