その後そんな静香さんに連れられて、事前に予約をしていてくれた美容院に行って髪型をセットした私達。
ホテルまでたどり着いて、ロビーに入ろうとした瞬間、私は思わずハッと進む足を止めてしまった。
「……果歩ちゃん?」
「…なんか、入りずらい……」
「えっ」
「私、浮いてませんか?」
私にはやっぱり場違いな気がして、何となく体が怯んでしまう。
だって目の前には絵にかいたような高級ホテル。
そしていつも思う。
陽生にこういう場所に連れて来られるたび、必ずと言っていいほどビビってしまうんだ。
どうしてもこういう雰囲気には慣れなくて……
「ふふっ、本当に果歩ちゃんてば可愛いんだから」
「えっ?」
「でも大丈夫よ、果歩ちゃんはこんなホテルなんかに負けないぐらい十分綺麗だから」
静香さんが優しい眼差しで私の背中を叩く。
「ほら、もっと自分に自信を持ちなさい!背筋を張って堂々としてればいいのよ!そしたらそんなへなちょこな思いなんてすぐに吹っ飛んじゃうから。
それ以前に私が保証してあげるわよ。果歩ちゃんがとっても素敵で魅力的な女性だってことを」



