「ありがとな」
そんな私を見てホッとしたのか、陽生がもう一度頬をひと撫でした後私から手を離した。
そしてそのまま時計を見て、ゆっくりと背を向けようとしたから、私は焦り何故か咄嗟に服の袖を掴んで離れて行こうとする陽生を引き止めていた。
「よ、夜は?」
「え?」
「夜は一緒に居れる?」
何でだろう。
すごく寂しい。
この手を離したら、何だか陽生かすごく遠くに行っちゃうような気がして……
「昨日、ずっと待ってたんだよ」
「えっ?」
「陽生と話したくてずっと起きて待ってたんだからっ」
そんなことを言っていた。
「なのに誰かさんは静香さんとベロベロになって帰ってくるし、おまけに2人して訳の分からないこと言うし、終いには昨日のことは全然覚えてないって言われてすごく寂しかったんだからっ」



