「ん、でも今回は俺が悪い。なんかそんな気がするし…」
するし……って、
「あのねぇ……」
そんな曖昧な……、本当に反省してるわけ?
もうっ、やっぱりさっきのタオルで首の一つでもしめてやればよかったかもしれない。
「なぁ、そろそろ仲直りしよっか。つーか目ぐらい合わせろよ。寂しいじゃん」
「知らないよ、そんなの自業自得じゃない!」
私は悪くないもん。と嫌みったらしくやっぱり陽生の手をつねろうとした瞬間、
突然クルッと向きを変えられた私はクローゼットの扉に背中を素早く押さえつけられてしまう。
「か〜ほ」
「やっ、何よ!」
「いいからこっち向いて、俺の方見ろって。てか、今は果歩とあんまり揉めていたくない」
陽生がグイッと両手で私の顔を持ち上げる。
顔が近付いてきて、そっと額にキスをされたけど、私は頑なに目を瞑って目だけは合わせなかった。
「だ、だから、やだってば!」
もはや意地だったんだと思う。
自分でもバカみたいって思うのに。
べつにこんなに意地になることなんてないのに、どうしても今日は素直になれなかったんだ。



