「ごめん……」
回された腕に力がこもる。
耳に触れるか触れないかの距離で言葉を言われ、思わず顔を歪ませた。
「な、によ、離してよ!今から着替えるんだからね!」
慌ててその手をほどこうとしたけれど、陽生の腕がそれを許してくれなかった。
それどころか、さらに抱きすくめられて、ぎゅっと身動きが出来なくなって……
「ごめん」
陽生の力がさらに強くなる。
思いっきり手の甲でもつねってやろうと思ったけど、陽生の声があまりに寂しそうだったから、私はそれ以上動くことができなくなってしまった。
「……そ、それは何のごめんなわけ?」
変わりにそっと陽生の手の上に自分の手を重ね、ふてくされたように呟けば、すぐにその手は陽生に強く握り返される。
「ん、色々と、いろんな意味を込めての謝罪」
「は?……それって昨日の事を思い出したってこと?」
「いや……残念ながらそれはどう頑張っても無理だったんだけど、けど……」
そのまま耳元に軽いキスが下りてきて、やっぱり申し訳なさそうに陽生が言った。
「俺が悪かった」
「なっ!だからそういうのは自分のしたことをちゃんと思い出してから言ってよね!」
もう!ただ謝れば済むって問題じゃないんだから……



