甘い体温②・後編・


「この、酔っぱらい!」


「えっ」


「もう本当最悪!マジ最低っ!」



何よ!人がこんなに悩んでるっていうのに、とぼけた顔しちゃってさ!


いっそ投げたタオルでその首でも締めてやりたいぐらいだよ!




「バカ陽生!もういいよっ!」


「ちょ、ちょっと待て果歩ちゃん」



勢いよく脱衣所を出ようとした私の手を陽生が慌てて掴み取る。



「な、なに怒ってるんだよ。急にどうした?俺、マジで何かしたのかよ?」


「フンッ。知らないよ!そんなの自分の胸に手を当ててよ~く考えてみればいいでしょ!」



あ~もう、ムカツク!

すごくムカツク!



「二日酔いだか何だか知らないけど、勝手に一人でうな垂れてなさいよ!いちいち私に甘えてこないでよね!」



ギロッと睨み、陽生の手を思いっきり振りほどいた。


陽生が一瞬怯んだ隙に今度こそドアを開け、私は脱衣所を飛び出した。