「この、酔っぱらい!」
「えっ」
「もう本当最悪!マジ最低っ!」
何よ!人がこんなに悩んでるっていうのに、とぼけた顔しちゃってさ!
いっそ投げたタオルでその首でも締めてやりたいぐらいだよ!
「バカ陽生!もういいよっ!」
「ちょ、ちょっと待て果歩ちゃん」
勢いよく脱衣所を出ようとした私の手を陽生が慌てて掴み取る。
「な、なに怒ってるんだよ。急にどうした?俺、マジで何かしたのかよ?」
「フンッ。知らないよ!そんなの自分の胸に手を当ててよ~く考えてみればいいでしょ!」
あ~もう、ムカツク!
すごくムカツク!
「二日酔いだか何だか知らないけど、勝手に一人でうな垂れてなさいよ!いちいち私に甘えてこないでよね!」
ギロッと睨み、陽生の手を思いっきり振りほどいた。
陽生が一瞬怯んだ隙に今度こそドアを開け、私は脱衣所を飛び出した。



