「つーかさ、俺、昨日いつ帰ってきたの?」
「えっ?」
「なんか気付いたらベッドの上だったんだよね。しかもネクタイも上着もちゃんと脱いでるし、ひょっとして果歩が……」
「はぁ?ちょっと待って!昨日の事覚えてないの!?」
驚いた私は勢いよく後ろに振り返る。
「ん?……昨日?」
「そうだよ!昨日自分がした事とか発言とかまったく覚えてないわけ!?」
「あー…昨日、昨日だろ?それがさ、静香と仕事帰りに飲んでたことまでは覚えてるんだけど…、正直それ以降はなんか途中で記憶が飛んでんだよね。
こう見事にプッツリと」
「………」
「ひょっとして……俺、何かしたり、した?」
信じられない……
もう本当に信じられない。
私を見つめながらなに食わぬ顔で首を傾ける陽生に、本気でメラメラと怒りを覚えた私。
何が、「頭痛い」なのよ。
私は肩にかけていたタオルを咄嗟に掴み、そのまま目の前の顔目掛けて勢いよく投げつけた。



