甘い体温②・後編・


「つーかさ、俺、昨日いつ帰ってきたの?」


「えっ?」


「なんか気付いたらベッドの上だったんだよね。しかもネクタイも上着もちゃんと脱いでるし、ひょっとして果歩が……」


「はぁ?ちょっと待って!昨日の事覚えてないの!?」



驚いた私は勢いよく後ろに振り返る。



「ん?……昨日?」


「そうだよ!昨日自分がした事とか発言とかまったく覚えてないわけ!?」


「あー…昨日、昨日だろ?それがさ、静香と仕事帰りに飲んでたことまでは覚えてるんだけど…、正直それ以降はなんか途中で記憶が飛んでんだよね。

こう見事にプッツリと」


「………」


「ひょっとして……俺、何かしたり、した?」



信じられない……


もう本当に信じられない。


私を見つめながらなに食わぬ顔で首を傾ける陽生に、本気でメラメラと怒りを覚えた私。



何が、「頭痛い」なのよ。


私は肩にかけていたタオルを咄嗟に掴み、そのまま目の前の顔目掛けて勢いよく投げつけた。