そんな時だった。
――…ガチャと扉が開いて、背後から少し甘ったるい声が飛んできた。
「かーほちゃん、おはよう」
「わぁっ!」
突然後ろから抱きしめられて、ビクッと声を上げた私。
見ると、さっきまで寝ていたはずの陽生がぎゅうっと私にしがみついていた。
「何?シャワー浴びたの?う〜ん、いい匂い」
「―――っ!」
首もとにじゃれるようにキスされて、思いっきり体を震わせた私。
「ちょ、ちょっといきなり何よ!」
慌てて巻き付く腕をほどこうとしたけれど、甘えるように抱きすくめられて、動きを封じ込まれてしまう。
「もうっ!」
朝っぱらからうっとおしい!
いつもいつも、急に現れて変な行動をとらないでよね!
それでなくても今日は誰かさんのせいで、朝から気が立ってるっていうのに!
「果歩ちゃん、なんか頭痛い……」
「はっ?」
鏡越しで目があって、また首筋に熱い吐息がかかる。