「吸いたいなら喫煙席に移動して!」



そう言って口から煙草を奪い取ると、少しハッとしたように私を見た直輝。



「おう、悪りぃ……」



そしてすぐに店員を呼び、コーヒーを淡々と注文していく姿に私はもう呆然とするしかなかった。



「せ、先輩どうしたんですか?」



後藤も同じく、実に珍しいものを見るように瞬きを繰り返していた。



ちなみに、後藤も直輝のことは知っている。


同じ高校だし、私と絡むようになってから、少なからずこうして時々3人で顔を合わせることがあったから。




「別に、仕事の休憩中にそこを通りかかったら珍しい顔ぶれが見えたからちょっと暇つぶしに寄っただけ」



暇つぶしにって……



「……今日も仕事だったの?」


「ああ、休日出勤だけど?」



それが何だよ、とダルそうに視線を向けられて、私は苦笑いしながら顔を横に振った。