「あ、あのね、後藤……」
「何よ、先週最高級のホテルでとびっきりのいい男と愛を確かめ合って、しかも美味しいディナーまで食べて、おまけにこんなラブラブなペアーリングに、こんな可愛いストラップまでもらっておいて、いったい何がそんなに怖いのよ!?」
そう言って後藤が心底嫌そうな顔を向けてくる。
一気に捲し立てた後藤の姿があまりにも恐怖だったから、私はもうただ目を泳がすばかりだった。
こ、怖い。
怖すぎるんだけど……
後藤から視線を反らし、オレンジジュースを一口飲んだ。
これはまた男と何かあったんだろうか?
いやあったな。
いつにも増して殺気だった後藤にどうしたもんかとたじろぐ。
次の言葉をどう切り出そうかと悩んでいると、今度はすぐ背後から珍しく懐かしい声が飛んできた。