「こら……」


「もうやだ……」


「え?」


「エロすぎる王子ならもう十分。もうすぐ12時だし、魔法もきれるから早く帰っていいよ」



反抗するようにそう言えば、何故か心底面白そうに笑った陽生。


少しだけ顔を戻すと、可笑しくてたまらないって様子でおでこを指でピンっと弾かれた。



「それ、逆だろ」


「ん?」


「帰るのはお前の方、普通は女の方が去っていくんだろ」



そう言って、ニッと私を見下ろす陽生が隙を見計らったように瞼にキスをした。



「まっ、でもそんなこと絶対に許さないけどな。そう簡単に逃げられるほど、生憎安っぽい愛情は注いでないんでね」


「ふっ、何よそれ。すごい自信」


「当たり前だろ。その証拠に俺にぞっこんなのはどこの誰だ?」



顔を近づけた陽生が自信満々にコツンと額同士をくっつけて見つめてくる。


その視線がもうやんなっちゃうぐらい格好よくて、何だか無性に悔しくなって……



「陽生だって……」



私はそんな陽生の首に両手を回し、悔し紛れに自分から濃厚なキスをしてやった。