「果歩、お前泣きすぎ……」
手を持ち上げられて、グルット仰向けにさせられた瞬間、真っ直ぐ私を見下ろした陽生が涙を拭う。
その瞳は苦しくなるほど熱っぽくて……
「だって、今日の陽生、なんか……変」
「……変?」
「やたら、甘ったるすぎるんだもん」
まだ、王子キャラでも演じてるの?
絶え絶えの声で見上げると、すぐに陽生の真剣な眼差しが近づいてきて、躊躇なくキスをされた。
「ふっ、なんだ。果歩は甘すぎるのが好きなの?俺はてっきり気持ちよすぎて泣……」
バシッと勢いよく目の前の頭を叩くと、陽生の顔が可笑しそうに揺れた。
「こら」
「へ、変態!バカじゃないの!」
すーぐそういうことを言うんだから!
涙を浮かべながらギロッと睨むと、陽生の手が愛しそうに私の頬を撫でた。
「泣きながら怒った顔もそそる」
「は?」
「このままもう一回戦しよっか?」
甘ったるくこめかみをくすぐられて、ビクッと肩を震わせた私。
そのまま顔が近づいてきてキスされそうになったけれど、咄嗟に顔をそらしてそれをヒョイッと交わした。



