甘い体温②・後編・


「果歩、お前泣きすぎ……」



手を持ち上げられて、グルット仰向けにさせられた瞬間、真っ直ぐ私を見下ろした陽生が涙を拭う。


その瞳は苦しくなるほど熱っぽくて……



「だって、今日の陽生、なんか……変」


「……変?」


「やたら、甘ったるすぎるんだもん」



まだ、王子キャラでも演じてるの?

絶え絶えの声で見上げると、すぐに陽生の真剣な眼差しが近づいてきて、躊躇なくキスをされた。



「ふっ、なんだ。果歩は甘すぎるのが好きなの?俺はてっきり気持ちよすぎて泣……」



バシッと勢いよく目の前の頭を叩くと、陽生の顔が可笑しそうに揺れた。



「こら」


「へ、変態!バカじゃないの!」



すーぐそういうことを言うんだから!


涙を浮かべながらギロッと睨むと、陽生の手が愛しそうに私の頬を撫でた。



「泣きながら怒った顔もそそる」


「は?」


「このままもう一回戦しよっか?」



甘ったるくこめかみをくすぐられて、ビクッと肩を震わせた私。


そのまま顔が近づいてきてキスされそうになったけれど、咄嗟に顔をそらしてそれをヒョイッと交わした。