な、なに考えてるのよ!
こんな公衆の面前で!
焦りながら必死で顔を横に振ったけれど、握られた手は離れる気配は全くなかった。
それどころかさらに手の力は強さを増して、陽生の眼差しがより一段と甘い色に変わっていく。
「果歩」
優しく、甘ったるく呼ばれて私の鼓動もさらに音が大きくなるばかり。
「俺、お前を守るためなら何でもするから。だから、何があっても俺から離れるなよ」
ギュッと手を引っ張られて、そのまま薬指に柔らかい感触が滑り落ちる。
それは触れるだけの優しいキス。
あっと、瞬きする間もなく口づけられて、私はただただ息をのむしかなかった。
「陽……」
「ふっ、とりあえず今はこれで我慢だな。この続きはまた後で、まずはこれ食べたら先に一緒にペアリングを見に行こう」



