甘い体温②・後編・


そんなことを思いながらじっと陽生を見ていたら、突然目の前の表情が可笑しそうに揺れて、ぎゅっと手を握り返された。



「はは、果歩お前最高。やっぱいいわ」



そう言って嬉しそうに口を緩めた陽生に、思わずドキッと驚いた。



「本当お前には負ける。いや降参、今ので完璧心持ってかれたって感じ?」



まさかこれって計算じゃねーよな?

陽生が笑いながら、私の手をグイっと引っ張った。



「こんなに短時間に感情を上げ下げさせられたのなんて初めてだわ」


「えっ?」


「あー……やばい、本気でやばい。今すぐここでキスしたい、かも」


「へ?」



ビックリして言葉を詰まらせた瞬間、最高に色っぽい眼差しでさらに手を引き寄せられた。



「……ダメ?」


「なっ、だ、ダメだよダメ!ダメに決まってるでしょ!?」



一瞬そのフェロモンに流されそうになったけれど、否定するように私は慌てて手を引っ込めた。