「だったらお揃いがいい……」
驚いたように視線を私に戻した陽生に、私は真っ直ぐ視線を向けた。
「どうせ新しく買い換えるなら、今度は一緒がいい、お揃いのペアーリングにして」
本当はずっとそう思っていた。
もちろんこの指輪も大切で、嬉しいものには変わりはないけれど、でも、やっぱり……
そのまま陽生の薬指に今度は私から指を滑らせると、何故かキュンっと胸が切なくなった。
「陽生…だけじゃないし、私だって嫉妬ぐらいするし、そんなのお互い様じゃん」
「……果歩?」
「私だって身勝手な嫉妬ぐらいするもん」
むしろ私なんかよりもよっぽど陽生の方がモテモテじゃん。
陽生の男らしい指に視線を移しながら、ポツリ言葉を繋ぐ。
今だってそうだ。
ここの店員に負けず劣らず、ずっと他のお客から熱い視線を浴びているのは私の気のせいなんかじゃない。
陽生の方こそ、もっと自分の心配をしてもらいたいぐらいだよ。



