ニコッと爽やかなスマイルを向けられて、よりいっそう硬直する私。
こ、怖い……
こんなに冷静な落ち着いた態度をとられると、逆に恐怖を感じるのは私だけだろうか?
むしろ、いつもみたいに感情むき出しに言われた方がよっぽどましなような……
「……お、怒ってる?」
やっぱり下手な隠し事なんてするもんじゃないな。
チラッと恐る恐る陽生に視線を合わせれば、すぐにかえってきた陽生の言葉にまたドキンと鼓動が鳴った。
「いや……ただの男の嫉妬」
「えっ…」
「どうしょうもない身勝手な嫉妬だから気にすんな」
「陽生……」
「でも、これじゃあ寿命がいくつあってもたんねーけどな」
私から目を逸らした陽生。
その表情が驚くほど切なそうだったから、思わず陽生の指から指輪を奪いとりその手をぎゅっと握りしめていた。



