なぞるように触れられた左手の薬指。
ドキッとするような陽生の真剣な視線。
そのまま薬指のプラチナリングを抜き取られた私はあっと、パスタを口から吐き出しそうになった。
「やっぱり、こんな安物じゃあまだまだ効果がたりねーか」
えっ?
慌てて口からフォークを抜き取りゴクンと急いで飲み込むと、陽生がそれを引っ込めながらポツリと言った。
「男避け……のつもりだったんだけど、まったく効果が感じられねーな。むしろ逆効果か?」
やれやれといった感じで指輪を見つめる陽生に、私はオロオロと視線を泳がせる。
「どうせならもっと分かりやすく、目立つものに変えようか?ダイヤつきの誰から見ても納得するようなやつに」
「え?」
「なんならこの後見に行く?とびっきり豪華ですごいやつを」
「……」



