甘い体温②・後編・


なぞるように触れられた左手の薬指。


ドキッとするような陽生の真剣な視線。


そのまま薬指のプラチナリングを抜き取られた私はあっと、パスタを口から吐き出しそうになった。



「やっぱり、こんな安物じゃあまだまだ効果がたりねーか」



えっ?


慌てて口からフォークを抜き取りゴクンと急いで飲み込むと、陽生がそれを引っ込めながらポツリと言った。



「男避け……のつもりだったんだけど、まったく効果が感じられねーな。むしろ逆効果か?」



やれやれといった感じで指輪を見つめる陽生に、私はオロオロと視線を泳がせる。



「どうせならもっと分かりやすく、目立つものに変えようか?ダイヤつきの誰から見ても納得するようなやつに」


「え?」


「なんならこの後見に行く?とびっきり豪華ですごいやつを」


「……」