へたしたら毎日大学まで送り迎えするとか言い出しかねないんだもん!


それなのに、それなのにぃ……



「そんなわけで、気を付けた方がいいっすよ、彼氏さん」



そんな私に追い打ちをかけるような彼の声。



「実際俺の連れにも三月さんのことを狙ってる奴いるし、正直三月さんってうちの大学で半端なく人気ありますからね」



まるで陽生を挑発するように口の端を上げた彼に、私はあちゃーっとうな垂れた。


なんて余計なことを……




「……それは、ご丁寧な忠告をどうも」



すぐに返ってきた陽生の何ともいえない低い声。


やけに冷静さを保ったそのトーンに、私の鼓動は余計早さを増してしまう。



「それでは改めてごゆっくりどうぞ。あ、三月さんまた大学で俺のこと見かけたら気軽に声かけてよ。よかったらいつも隣にいる友達と一緒にさ」


「……」



もう、何も言葉にできなかった。


ていうより、完全に意気消沈した私。


何でこんな店に来ちゃったんだろう。


去って行くおせっかいなイケメン澤田と自分を恨みながら、私はただただ俯くばかりだった。