そんな私を見て、残念そうに苦笑いをした彼。



「はは、そうか……そうだよね。三月さん全然俺のこと眼中になさそうだったもんね。
俺的には結構三月さんのことはちょくちょく見かけるんだけどさ。時たま校内ですれ違ったこともあるし」


そう言って残念そうに微笑んでくる彼に言葉を濁した私。



「……そう、なんだ……」



なんとなく気まずくなって、慌てて目を反らす。


まさか、そんな事実に頭がおもいっきり混乱中。


変な気分っていうか…


世の中ってどんだけ狭いんだろうってね。


よく見ると、彼はここのアルバイトなのかお店の制服をきっちり身にまとっていた。



「ひょっとして、向かいのイケメンって彼氏?」


「えっ?」



その言葉に驚き視線を彼に戻すと、彼が興味深そうにチラッと陽生を見ていた。



「あ、うん……」


「……ふーん、そっか。ずいぶんと大人な彼なんだね」



何故か興味津々っといった様子で陽生にも「どうも」っと、軽く挨拶をした彼。


それに合わせるように陽生もまた淡々と軽めの返事を返していて



「そっか、噂では恋人がいるって聞いてたけど、まさかこんなかっこいい彼がいたんじゃ他の男なんて興味ないよな」


「……へ?」


「そりゃあ、毎日大学の奴に言い寄られてもあっさり断るわけだよな、はは、納得だわ」