「なんならかぼちゃの馬車でもご用意しましょうか?魔法使いのお婆さん付きで」
グイっと片手で抱き寄せられて、クスッと目を細めた私。
「本当に?そんなこと言うと本当に甘えちゃうよ。いいの?思いっきり無理難題我がまま言っちゃうかもよ」
「どうぞ、果歩のお願いなら何だって叶えてやるよ。何なら2人で世界一周とかしちゃう?いや、宇宙旅行でもいいけど」
宇宙旅行って…
「クス、何それ……」
可笑しくて噴き出してしまった私。
相変わらず言うことが大胆なんだから……
まぁでも、たまにはこう言うのも楽しいかもね。
「じゃあ、せっかくだから今日は本当に素直に甘えてみちゃおうかな。何でも私の言うこと聞いてくれるんだよね?」
「ああ、何でもどうぞ。今日は1日果歩の好きなようにすればいいよ」
「やったぁ、じゃあ遠慮なくそうしちゃおう」
よし、そうと決まれば善は急げだよね。
「じゃあ、まずは…」
陽生の手を引っ張り再び勢いよく歩き出す。
やばい、なんだかすっごく楽しくなってきたかも!
目を輝かせた私は、今までの寒さなんか吹き飛ばすように目的の場所へと足を走らせた。