「だから大丈夫だよ」
もう一度微笑み、言葉を向けると今度は突然グイっと抱き締められた。
「えっ……」
驚いて慌てて顔を上げようとしたのに、それは陽生の手によってあっけなく阻止されてしまう。
そして耳元に、少し切なげな声が聞こえてくる。
「……サンキュ……」
「えっ…」
ギュッと抱き締められて戸惑う私。
その声が今まで聞いたことがないぐらい小さくて苦しそうだったから、ほんの少し胸がざわざわとした。
「あの……」
思わず陽生の横腹を強く掴んでいた。
鼓動がドクドクと音を立てる。
黙ったまま、それ以上何も言わなかった陽生に妙な不安を感じながら、少しの間陽生の腕の中で動くことができなかった。



