「かしてみ、俺がしてやるから」
そう言ってニッと笑った陽生が、急に試着室に乗り込んできた。
片手には何故かもう一つ別のドレスを持って、ニッコリ笑いかけてくる。
「へ?や、でも店員さんは?」
慌てた私は咄嗟に陽生を押し返す。
「ああ、今ドレスに合う靴とネックレスをいろいろ取りに行ってくれてるからここにはいないぞ」
「いないって……ちょっ!」
そうこうしているうちにバタンと扉が締められ、あっという間に2人っきりに。
「かーほちゃん、何そんなに焦ってんの?」
「べ、別に焦ってなんか…」
そう強がってみるものの、近づいてくる陽生の顔があまりに不気味で、ついつい後ずさりしてしまう。
なんとなく、いや~な予感?
「ほら、いいからいいから、後ろ向けって」
「や、でも……」
「ふっ、別に何もにこんな所で変なことしないから安心しろよ」



