そしてそのまま順序よくドレスを着ていく私だったけれど
……あれ?
あるところまできて、急に動かす手が止まってしまった。
「ん~〜」
一生懸命手を伸ばすものの、どうしても最後の所まで背中のファスナーが閉まらない。
ていうより手が届かない。
もう、面倒くさいなぁ……
私は鏡に向かって深いため息を吐くと、ひょっこり試着室から顔だけを出した。
そしてさっきの店員さんを探してみる。
けれど、すぐに視界に入ったのは店員ではなくて、何やらディスプレイされたドレスを真剣に見つめる陽生の姿だった。
「ん、どうした?」
そんな私に気づいた陽生がすぐにこっちに目を向ける。
「えっと、さっきの人は?」
「ん?」
「ファスナー最後までしめれなくて……」
チラッと気まづく見ると、陽生が「ああ」といった感じで頷いた。



