「ふんだ、いいよね三月さんは!所詮椎名先生がいるし、それに可愛いし、どーせ男に裏切られたことなんてないでしょ!?」
後藤がギロッと睨みつける。
今度は八つ当たりかよ…
と息を漏らしたものの、ここはあえて冷静に。
「あるよ」
私だってそれぐらいは経験済みだけど?
そう一言冷静に言葉にすれば、目の前の瞳がこれでもかってぐらいに大きく揺れた。
「えっ、うそ!?」
「いや、本当……」
「いつ!?」
「たぶん、15ぐらいの時」
確かあれは中3の夏だっけ?
母親に捨てられて、自暴自棄になって夜な夜な町をさ迷ってた時だ。
いかにもって奴に声をかけられてそのまま着いて行ったのが大きな間違いだった。
まぁ、あの時は私なんてどうなってもいいって思ってたし、いっそこのまま拉致られて殺されても構わないって本気でそう思ってたから……



