「ちょ、ちょっと待って!い、今どこにいるの!?」
思わずそう叫んだ私に、陽生が電話越しで一瞬言葉を詰まらせたのが分かった。
そんなぎこちない雰囲気に私はさらに言葉を吐きだした。
「陽生!?」
「あー……今は……」
気まずそうに言葉を濁らせる陽生にやっぱり確信をした私。
まさか……
すぐに窓際に駆け寄ると、疑問を確かめるようにカーテンを勢いよく開けた。
やっぱり……
気づいた私は勢いよくベランダに出る。
暗闇で少し見にくいけれど、ちょうどすぐ下に停車している見慣れた車が1台。
街灯のわずかな明かりの中、それは確かに私の瞳の中に飛び込んで見えた。
「見つけた……」
「はは、見つかっちゃったか」
私の声を聞くなり、車からゆっくり顔を出した陽生。
目が合った瞬間、ぎこちなく手を振った姿を見て慌てて声を上げた。
「す、すぐ行くからっ!」
私は窓を閉め、優を起こさないように急いで部屋を飛び出した。



