「今日で辞めます」

静まり返った狭い空間に立ち込める、煙草の独特な匂い。私の声だけが低く響き、目の前に居る男は漫画を読む手を止めた。

「…本気か?」

細い目を丸くさせると、頷く私を見て深いため息を吐いた。

「本気です、お世話になりました」