「由梨!頼みたいことがあるんだ!!」


父が家に帰ってくるなり、いきなり私に頭を下げてきた。


「えっ…何?」

めずらしいな…。
お父さんが頼み事なんて。


父は少し頭を上げ、上目遣いで話し始めた。


「うちの学校、教師を雇えるお金がなくて、先生の数が凄く少ないんだ。」


私の父は高校の教師だ。
教科は数学。


「それで、その…お前、将来教師になりたいとか言ってただろ?」


……。
…言ったっけ?


「教科はなんでもいいからっ頼む!!うちの学校の先生やってくれっ…!!」


そう言って父は、私に土下座した。



…って、
はいぃぃぃ!?