桜〜#1/先生。




私はその笑顔に



一瞬にして虜になった−…



キラキラした瞳。
はにかむ笑顔。
ちょっと出来るえくぼ。



今まで味わったことのない感覚だった。

胸がドキドキする。
ドキドキで涙なんて止まっていた。



「ねえ、なんで桜を盗もうとしたの?」
話をそらす。

「あ…あぁ、どうしても欲しかったんだ。」
「どうして?」
「とても…綺麗だろ?この家の桜−…」


桜を切なげに見つめる表情がとても素敵で…
私は桜よりもそっちに目がいっていた。


「だからね…」
「…うっ、うん!」
こっちを向かれるだけでなんだか緊張する。