少ししてお母さんが来て、その人は手当された。

軽いケガだったみたいだ。
安心したらまた涙が止まらなくなった。


「…っ…っ…」
「ごめんね。」
泣いてる私に、その人は謝った。
後から考えると、桜を盗ろうとしたことを謝っていたんだろう。

でも当時の私は生きていたことに安心して
「こっちっ…こそ、ごめっ…なさっ…」
しゃっくりしながら懸命に謝っていた。

「どうして君が謝るの?悪いのは僕なのに…」
「だっ…て、死んじゃう、かとっ、思っ…」


「君は…優しい娘なんだね。」
そういってその人は笑った。