ネコ専務は独身のネコなので、ネ子に
プロポーズしようと思えばできる。

ネコ専務はさんざん悩んだ末、今日こそ
はプロポーズしようと決意して会社に
行った。

しかし、その日ネ子の方からやってきて
こう言った。

「私、今月で会社を辞めることになりま
 した」



ネ子は優秀なOLだが、大企業の激務は
肌に合わなかったらしい。実家は農家
なので、これからは野菜を作って暮らす
という。

また、故郷には幼馴染の婚約者もいる
とのことであった。

ネコ専務はよっぽど引き止めたかったの
だが、それは白猫のプライドが許さな
かった。そこで、

「そうか、まあがんばりたまえよ」

と送り出したのだった・・




それはもう10年も前の話で、ネコ専務
は今はネコ社長なのだが、ネ子の作った
野菜は社員食堂の食材として買っている。

ネコ社長はそれを食べるたびに、ネ子と
テニスをした「青春」の日々を懐かしく
思い出すのであった。

             おしまい