そういうと教祖は、失礼します、と言っ
て、信者たちを引き連れ、車に乗り込ん
でいった。

ネコ専務は自動車に詳しくないので、
何社の何という車かは分からなかったが、

「成功への道」と宣伝しているだけあっ
て、ぴかぴかと何だか高そうな車である。

3台の車は走り去り、あとに残された
ネコ専務は、いまの教祖の言葉をしば
らく考えていた。

しかしやがて、軽く首を振り、ぽつりと、

「私がガイアに会うだって?まあ、この
 辺は宗教だな」

と独り言を言って、あちこちにある水
たまりに、雲間からもれた夕陽がきら
きらと反射している舗装された道路を、
自宅マンションの方へと静かに歩き始め
たのであった。

              おしまい