この世界では彼女と、兄のフレイアに
しか例のない、全身銀色の長い美しい
毛並みは疲労でへたり、やはり珍しい
銀の目は、(もう、ダメかも・・)と
いう死の予感におののいた。

あらかじめ目をつけておいた裏口の脱出
口に向かいながら、行く手を遮る城兵と
の戦闘を繰り返していたエリスは、不意
に無人の大広間に出て、一息をつく。

脱出口は間近だが、敵兵はちょうどその
あたりに集まって待機しているようだ。
レーザー・ビームの残量はあと10発分
もあるまい。
エリスは城砦に深入りしすぎたのだ。


「私はこんな所で死ぬわけにはいかない、
 まだまだガイアの大望に力を貸さなく
 ては!」

エリスはそう口にすると、大広間の壁に
掛けてあった長剣をもぎ取った。
エリスの剣術は、幼いころからガイアに
鍛えられてきただけあって、並以上の
腕ではある。

エリス・ウォールは、しばらく目をつぶ
り、深呼吸をして、多少冷静さを取り
戻すと、城砦の出口を固めつつある
何十人もの騎士団に対して、ひとり決死
の戦いを挑みに向かった・・