ネコ博士は、これまでにノーベル物理学
賞・化学賞・生理学医学賞・経済学賞を
合わせて98コ取っている天才である。

文学賞も去年、自分の兄をモデルにした
「ネコ専務シリーズ」でようやく受賞
したので、これで99コ。

ネコ博士は、記念の100コ目はこれまで
取っていない「ノーベル平和賞」を取り
たいな、と思ったのであった。

そこでネコ博士は「平和製造機」を試作
した。これは、特殊なエネルギー波を
放射して、それを浴びたネコは、マタ
タビをかいだときと同じ状態になって、
戦意を失ってしまうという機械である。

ネコ博士は何度も、街の不良のケンカを
これで止めたり、路地裏のノラ猫たちの
ケンカを止めたりと、実験を繰り返した。
そして、機械が有効な範囲や時間もだん
だん広がってきたところで、ついに、
中南米の内戦でも止めてみようかと、
勇んで出かけて行ったのであた。

中南米のある国に、政府軍と反政府軍が
激しくドンパチしている町があった。
ネコ博士のチームはこの町に目をつけ、
近くの山の、町を一望できる地点に平和
製造機を据え付けた。

そして町全体に向けて「マタタビ波」を
放射したところ、銃声がパタッと止んだ!