そんなことを言いながら、三人は周囲を眺めた。


 見渡す限りのススキ野である。


 手足の擦り傷はそこへ踏み入った証拠である。


 こんなはずではなかった。


 ただ、行き着く場所へ行ってみたかった。


 どこまでも。


 その挙句のことだ。

 
 東雲は眼鏡をかけなおし、やおら問題提起を始めた。


「でも、おれら、まっすぐ舗装されてない砂利道を通ってたんだよな」


 話はあれからだ。


 ちょいとわき道から、少しばかり舗装された道路が見えてきた。


 大きなトラックが通って行ったので、大丈夫かと懸念したが、砂利道で自転車にも乗り手にも負担がかかる。


 こんなところでパンクや脱輪はごめんだ。


 アメリカンホームダイレクトも保証してくれない。


 ただでさえ新品なのが自慢の三人である。


 なので大きめの道路に侵入したのである。


 ところが、先ほどのトラックをしまいに、車が一台も通らない。


 しばらく心細い彼らだったが、中学校の校歌を歌って気を紛らわし……それで陽は暮れてしまったのである。


 まず、田舎道とはいえ、百何キロかごとに街灯が見えた。


 そして、見たのである。


 灯りのついた電柱の下にぽつねんと。


 地蔵菩薩が建っていること。


 これは事故が多いというサインに見えた。


 三人は焦って次の街灯まで自転車を走らせた。


 まっすぐの道でまさか間違いはすまい。


 しかしどういうわけか同じ道に幾度もさしかかっているようなのだ。


 それがいく度目かになって、ようやく三人は気がついた。