「まさくん!」


「たるみちゃん!」


 お互いを悲鳴のように呼び合って、二人は金縛りのような息苦しさから免れた。


 そのときだ。


 音も立てず、振り返ってこちらを見る老婆の顔。


 それはもはや人間のものではありえなかった。


 真っ白な白目にも眩しい金色の瞳をした鬼が、紅い液体を口から滴らせていたのだから、たまらない。


 これは子供の入りこめる事態ではない。


 やはり、見てはならなかったのだ。