オーナーとの電話が終わると、高野さんは俺に話しかける。 「あの……」 「なんですか?」 「お金払います」 ハンカチで濡れた髪をふいていた高野さんは、お財布を取り出す。 「それ、欲しかったの?」 「別に……」 口ごもる。 地味でまじめそうな子だ。テキトウに手にしたんだろう。 その証拠に、彼女が手にしたマニキュアの色は黒だった。 「黒、好きなの?」 改めて高野さんはマニキュアを見る。 「あ。黒か……」