『高野奈央』 それが彼女の名前だ。年は俺と同じ。 「本当にごめんなさい」 高野さんは少し手が震えていた。 「いつもなら親を呼ぶところなんだけど、今回はいろいろとレアケースだから」 天気とオーナーがいないという状況。そして高校生の俺をこんな夜中に働かせていることがバレるとまずい。 「お母さん呼ばないの?」 「ええ、今回は」 「そうですか……」 なんだかちょっとがっかりしているように見える。 変な子だ。