まさか…人を殺すなんて…あの時…俺は考えもしなかった。


 「お帰り…紫桜(シオウ)」


 「ただいま…母様」


 「今日も…紫桜が仕留めたんだ…。こいつは俺よりも…腕がいい。こいつの狙った
獲物は百発百中だ!」


 父様は俺の髪をクシャクシャと大きな無骨な手で撫で回す。



 「…でも無駄な殺生はいけませんよ~。紫桜」


 「分かってます…母様…」


 「…じゃあ~夕食にしましょう~」


 母様は…海を渡って…父様と結婚した。


 母様の故郷は日本と言う異国の小さな島国。


 俺の名前…『紫桜』は母様が名づけてくれた。