紫岐が部屋のドアを開けた。
そこには佐波と家族たち…親父が立っていた。
「……」
アメリカに留学中の兄貴が拉致られていたことは知っていた。でもどこに拉致られて
いるのかは把握してなかった。
マフィアのすることは非道極まりない。でも…争いがなくなれば…血を見ることも
人の憎悪も買うこともなくなる。
俺はそう思っていた。
儀式の準備は既に整っていた。
『黒龍』と『紅龍』は兄弟杯を交わして…『王龍』となる。
俺は佐波の親父さんと初めて顔を合わせる。
「トーヤさま…娘の佐波をよろしくお願いします」
親父さんが俺に頭を下げた。
