「……」


 私はお父さんに呼ばれた。


 大広間の床の間に飾られた紅の龍の掛け軸。


 今まで何気なしに見ていたが…今はハッキリと…分かる。




 『紅龍』の証。


 隣にはお母さんも居た。


 「お前…『黒龍』の男に惚れているようだな」


 「……はい…」


 私はお父さんを真っ直ぐに見つめる。私は…祐斗を愛してる。


 それは誰が何と言おうと変わらない。紛れもない事実。