母さんの入院する病院に急いだ。


 父さんが先に来ていて、葉月と病室の外で立っていた。


 「今…蘇生処置をして貰っているとこだ…しかしもう…かなりの時間が過ぎている」


 父さんは無意識にクセである下唇をしきりに触っていた。気持ちがかなり焦っている
ようだ。


 「もうすぐ退院じゃあなかったのか??葉月」


 「入院を長引かせるために…大量に睡眠薬を飲んだそうです…」


 「……」


 病室から医師から出て来た。


 「残念ですか…15時45分…ご臨終しました」


 俺たちに医師はそう告げた。