私は依吏さんに連れられ、暗闇の階段を上がってゆく。


錆びた扉を依吏さんは開ける。


波止場に近いビルの屋上。夜風に誘われ微かに潮の香りが漂う。



屋上には人影。霞みのかかった半月がドンと呼ばれる男性を照らす。


依吏さんは私を屋上に出すと扉を閉めてしまった。


「あなたは???」


「……俺の名前は孔張明(コウチョウメイ)」


「!!?」


違う彼は……准斗の執事の葉月さん??