あたしは振り返って、引っ越しやさんと話をしているパパに向かって叫んだ。


「ねぇーパパ!ちょっとそこらへん見てきていい?」


それに反応したパパがニッコリと笑って頷いたのを確認すると、あたしは今車で登ってきた坂道を駆け下りた。


「暗くなる前には戻って来なさい!」


後ろから追い掛けて来るパパの声に、あたしは振り返らずに手を振った。



早足に歩きながら大きく息を吸い込むと、澄んだ空気が肺に流れ込んでくる。