ぼくは、薄暗い部屋のなかで、電話の内容をひとつひとつ思い出す。



「行徳亮平さんですか?」


電話の相手は尋ねた。
ぼくは「…そうですが…、」ととまどう。


「わたくし、篠田アズミの母でございます。
行徳さんにお伝えしたいことがありまして」


ぼくの心臓は、これまでにないほど、どくどくと波打っていた。

いったいなにが始まるんだ?!