かすかに 話す声が聞こえる 「この学校に来た時から好きだったの、市ヶ谷くんの事。」 確かに橘さんの声だ 「……………。」 その言葉に 飴玉男の返答がない 飴玉男………? どうして何も言わないの……? 不安の波があたしを包んで 繋いでた千絵の手を強く握った 「好き、なんでしょ?沖村さんの事。」 何も言わない飴玉男に橘さんが言った 長い長い沈黙 静かすぎるこの場所で あたしと千絵は息を殺したまま 耳を澄ませる 「俺と付き合いたいの?」 静けさを破り 飴玉男がついに口を開く 飴玉男……?