「そうだな…さすがに高校生になったら減ったな~」

「あはは、そうだねー普通はこの年の男女ならそんなことしないからね」

だよな~……ん? じゃぁつまり、俺は異性として意識されてねーってことか?

……何かショック……

「どうしたの? がっくり肩落として」

「いや…何でもねぇ」

香絵はそう?と言って前に向き直る。

「まぁそれもこれも、幼馴染の特権ってやつだね!」

そう言う横顔は、どこか嬉しそうに見えた。

幼馴染、ね……

確かにその関係がなければ、こうして一緒に帰ることなんて無かったかもだし、そもそも友達にすらなれなかったかもしれない。

そういう意味じゃ、この関係に感謝しなくちゃいけないのかな。

ただ、幼馴染ゆえの壁ってもんもあるんだけど……

そんな会話をしていたら、いつの間にか家の前に着いていた。

田舎特有の木造の家。最近は都会でも和風な家が流行っているとかなんとか聞いた覚えがある。

ガララッ

俺はその家の玄関をくぐる。

「こんちはー!」

「ただいま。お母さーん! 圭太連れてきたー!!」

香絵は奥に向かって声を張った。

するとパタパタとスリッパの音が近づいてきた。

「あらあら、圭ちゃんいらっしゃい!」

久しぶりね~なんて言いながらにこにこしている。

この見るからに人の良さそうなひとが香絵の母さん。

「今日は泊まっていくんでしょ?」

目を輝かせて聞いてくる。

ほんと……いい母さんだよ。

「はい。お世話になります」

「ゆっくりしていってね~」

そう言っておばさんは台所に戻っていった。

「ちょっと着替えてくるから、適当に座ってて」

香絵は二階にある自分の部屋へ行った。

俺はというと、何の躊躇いもなく居間に入った。

なんかもう自分の家みたいになってるからな、ここ。