俺の横にいた、ダチの亮が口を開く。

「進路ねぇ……俺は全然。つーかまだ将来とか分かんねーし」

「だ~よな……漠然としてるよな~」

「あたしも分かんないや。無難に大学進学とかかな…」

亮も香絵もまだ将来のことは決まっていないらしい。

俺は……実はもう決めてあるんだ。

でもまだ言えない。

その時が来たら……いつか話すよ。

俺は進路調査表を強く握った。




キーンコーンカーン―――

「ゲッ俺まだ書いてねーよ!」

授業の終わりのチャイムが鳴り、亮が慌てている。

「まだ出来ていない者は明日まで書いてこいよー」

担任が明らかに亮を見ながらそう言った。

「明日!? 無理に決まってんだろ! もうちっと時間よこせや!!」

「そりゃ無理な相談だ。こっちだって忙しいんだよ。日曜は隣町の遊園地に連れて行けって娘にせがまれてんだ」

おいおい……のろけかよ。

「いいか! 明日の金曜まで何が何でも持って来い、いいな!!」

担任はそう言い残して教室を出て行った。




そして放課後

俺は香絵と並んで歩いていた。

家が隣同士で、嫌でもこうなってしまうのだ。

いや、別に嫌じゃねーけど。

「圭太、今日ウチに泊まっていかない? お母さんもいつでも呼んできなって」

香絵が唐突に口を開いた。

? 気のせいか、少し顔赤くねーかお前……

俺らは昔から、しょっちゅうどっちかがどっちかの家に泊まったりしてたから親も特に口出しはしない。

まぁ泊まるっつってもどうせ隣りだしな。

「あぁ……じゃぁ泊まってくわ」

そういや今日父さんも母さんも帰り遅いって言ってたから、丁度いいや。

「そ、そお? 何か久しぶりだねー圭太が泊まりにくるの」

そう言われてみれば、ここ1年は行ってねーかもな。