『……うん』

「…これってある意味プロポーズじゃね?」

なんておどけてみせた。

『ふふっ…そうだね』

香絵が笑った…

俺はそれが何より嬉しく思った。

香絵は特に否定しなかった。

ということは、OKってことだよな?

自惚れてもいいんだよな?

なあ、香絵……

『…必ず来てね、待ってるから』

初めて香絵からしゃべった。

その声はどこか晴ればれとしていた。

「ああ。必ず」

『約束よ!』

「約束するよ。いつかきっと…」

今すぐ会いたい、抱きしめたい……

でもそれは出来ないこと。

だから、今のこの気持ちを言葉で伝えよう。

そう思った俺と、香絵が言葉を発したのは同時だった。

『「ありがとう」』




ケータイをポケットに仕舞い、涙が零れないように上を向いた。

そこには、さっきまでの曇天とは打って変わって、綺麗な青空が広がっていた。